「温故知新」昔のものに触れると、かえって新鮮に感じることってありませんか? Part2

みなさま
 
お疲れ様です。
大澤です。
 
ゴールデンウィークの大掃除も終わり、きれいになったベランダで植物の種を蒔きました。
フーセンカズラ、蕎麦、そしてポップコーン用トウモロコシ。。。
植木鉢でどこまで育つのか楽しみです。w
 
さて、先月のブログで予告した通り、活版印刷の体験をしてきました。
訪れたのは、いつもお世話になっております、凸版印刷様 小石川ビルにある「印刷博物館」です。
(弊社のすぐそば。。。)

Webで「活版印刷 ワークショップ」と検索したところ、トップに表示されました。
http://www.printing-museum.org/bottega/

 

2つのフロアーから構成されています。
1階はグッズを販売しているショップや、印刷関連の書籍を見ることができるライブラリー、企画展示を行うギャラリーがあり、入場は無料です。
私が訪れた日は「見せ方の進化―仮想現実の世界まで」という企画展が開催されておりました。
Oculus Riftやハコスコを用いた、VRを利用した映像や、紙面に掲載されたマーカーに、あらかじめダウンロードしておいたアプリ越しにスマホをかざすと、解説ムービーが再生されるAR図鑑などが展示されていました。
「見る」というより「体感」するといった展示でした。
 
地下1階は印刷の歴史を紹介するゾーンがあり、歴史を感じられる印刷物や、過去に使用していた巨大な製版用カメラやドラムスキャナー、特殊印刷の紹介や、ギネスブックにも認定されたマイクロブックなどが展示されています。
こちらは入場料、一般300円です。
活版印刷を体験できる「印刷工房「印刷の家」」もこちらのフロアーにあります。
 
館内は写真撮影禁止ですが、「印刷の家」の中は撮影可ということで、ブログへのアップも了承していただきました。
ありがとうございました。

 

▲体験開始前の待ち時間に、印刷したい文字を記入しておきます。

 

入館すると、インストラクターの東海林様のレクチャーが始まります。
親切、丁寧な解説で非常に分かりやすかったです。
以降は、東海林様のレクチャーを元に、まとめてあります。

 

▲活字を拾う「文選」はこの棚を使用します。細かい活字がびっしりと並んでいます。
活字(文字)の上側が左を向くように、つまり文字が寝た状態で積まれています。

 

▲写真左(上)、左の活字は24ポ、右は42ポ。42ポは和文の金属活字で最大※1ということです。
写真右(下)は文選箱に800文字分の活字が配置されており、重さ2kg。ずっしり重いです。
800文字を文選するのにかかる時間は、熟練者で、およそ40分ということです。
成分は、鉛を主体とし、アンチモン、錫が配合されているということです。
金属の中では比較的柔らかい材質で、耐用印刷枚数は8,000枚ほどで擦り減って使えなくなってしまう※2ということです。

※1.欧文では72ポという大きさの活字もございます。日本独自の活字サイズを表す単位に「号」という単位があります。その「号」という単位で一番大きい「初号」という大きさをポイント換算すると42ポイントになります。当時、規格品として販売された日本語の活字の中では最大のサイズでした。

※2.活字が擦り減ると字形が太くなってしまうため、元の字形と変わってしまう為に使えなくなります。

 

▲組版された宮沢賢治著『銀河鉄道の夜』の一部です。芸術品を見ているようです。
行間を埋めているものは「インテル」、文字間のアキ調整には「クワタ」と呼ばれる板状のものが使用されます。

 

▲「文選」です。待ち時間に記入しておいた文字を探します。
左の棚から音読みで50音順に並んでいます。(漢字)
ひらがな、カタカナは中央付近の上から3段目に、約物や異体字は右の方にありました。
※写真はプライベートを考慮し、ぼかしを入れてあります。

 

▲棚と同じように横向きで文選箱に置いていきます。
案外、時間がかかりました。。。w

 

▲型に文選した文字を配置します。あらかじめ組み込まれているダミー文字と差し替えます。

 

▲手元に置いてあった「字どり見本」と字取り(文字アキ)を調整する「クワタ」。

 

▲お子様連れの方や若いカップルなど、幅広い客層で、みなさん楽しまれておりました。
※プライベートを考慮し、ぼかしを入れてあります。

 

▲最後にコツコツと軽く2回くらいたたいて表面をならします。

 

▲上図の矢印の先の部分に版をセットします。
※版のセットはインストラクターの方が行います。
左側のレバーを下に押すと中央のピンク色のローラーが上がります。
上の円盤にはインキが塗布されており、ローラーにインキが付着するので、その後、レバーを戻します。
すると活字にインキが塗布され、レバーを強く下に押すと、紙のセット部と版がプレスされるという仕組みです。
伝わりづらいと思うので下のムービーを参照ください。


 

▲出来上がました。ちょー感動!

 

体験後、奥にあった活字棚と活版印刷機を案内していただきました。

▲活字棚。
写真だと小さく見えますが、結構な大きさがあり迫力を感じます。

 

▲活字がびっしり!
この3列が一人分の文選スペースだそうです。

 

▲一番奥にあった予備の活字の保存棚。
これらは使われたことがないようです。
写真では見づらいですが「大出張」「中出張」「袖」などと書かれています。
使用頻度による呼び名ということで、一番使用頻度が高いものを「大出張」というそうです。

 

▲未使用なのでピカピカです。

 

▲約物。
括弧類はひっくり返して使用することで、起こし、閉じを兼用します。

 

▲ルビの活字。
こんなに小さいのに文選は全て手で行われていたそうです。
ビックリですね。

 

▲ここから印刷機。
装飾が見事! コロンビアン印刷機(アメリカ)
上の装飾は版をプレスする圧板を支える重しの役も果たしています。

 

▲この道具を使ってインキを版に塗布していたそうです。
中には馬の尻尾の毛が入っており、それを犬の皮でくるんでいたそうです。
(特に犬は汗腺がないので重宝されていたそうです)

 

▲アルビオン印刷機(イギリス)

 

▲スタンホープ印刷機(イギリス)
これらはレバーを引いたり、重いハンドルを回したりと、結構な力仕事だったそうです。

 

▲全自動小型凸版印刷機「デルマックス」(日本)
精密機器って感じがしました。

 

感想として
未体験なことだったので新鮮さを感じ、大変、感動しました!
活字に触れることで、現在のDTPとの比較ができ、文字組の糧にできそうです。
壁画に書かれた記号のようなものから始まり、聖書の写しや瓦版、木版画などといった、時代を追うごとに、より多くの人に伝える技術の進化、発展が伺えました。
それに伴い、新しく生み出される仕事もあれば、消えてしまう仕事もあるでしょう。
インターネットやデジタルサイネージ、チラシ、DM、デジタルマガジンなどなど、情報配信や収集手段の多様化が加速する中、DTPも「博物館入り」する日もそう遠くはないのかも。。。と、少し心配になってきました。。。
色々と考えさせられました。
「知新」のとっかかりにできればと思います。
 
貴重な体験をさせていただいた東海林様をはじめ、インストラクターのみなさま。
本当に、ありがとうございました。
 
※1、2の文章は、印刷博物館の方より、当記事の確認の際に添えていただいた説明です。
ありがとうございました。
 
6月からは体験内容が「一筆箋」から「コースター」に変わります。
使用する活字も欧文活字になり、和文の時とは一味違う体験ができるということです。
 
みなさまも是非、訪れてみて下さい!
 
長くなりました。
最後まで読んで下さり、ありがとうございましたm( _ _ )m