9月 3, 2008

MindManager導入セミナーのレポート

MindJet MindManagerというマインドマップのソフトウェアを使い出して2年以上たちます。マインドマップというのは……何かをまとめたり、議論を行ったりする時に使う道具です。テーマを四方八方に広げて掘り下げてまとめていけるので、比較的自由な発想を行えることを特徴としています。また、一度広げた内容をズームアウトして俯瞰して振り返ったりすることもできます。

マインドマップ自体については、そういうアイデアのまとめ方については昔から知られていましたし、同様の仕組みを実現するソフトも10年以上前に使っていました。それを「マインドマップ」という概念として(ふたたび)紹介したことに昨今のマインドマップ・ブームの新規性があるものと思われます。

 

マインドマップのブームについては1年ぐらい前が最盛期で、1回○万円のセミナーが大盛況! などという信じがたい報道がなされておりました。しかしそれも時とともに忘却の彼方へ。いまはひところにくらべて騒ぎも落ち着いてきた感があります。

 

流行り廃りとは関係なく、実際にこの道具(マインドマップ)を使い続けてきたユーザーが地に足をつけて活用を続け……マインドジェット社のMindManager 7導入事例セミナーは9/3で4回目とのことですが、こうした地道な活動を開始するにはちょうどよいタイミングでしょう。

 

導入事例セミナーに行ってきたので、簡単にレポートします。

 

ユーザー事例をユーザー自身に紹介していただくというスタイルで、予想を超えてはるかに盛況でした。60人ぐらいはいたのではないでしょうか。会場も、プロジェクタのスクリーンの位置がもうちょっと高くないと、前の人の頭で下のほうが欠けて見えないことが多々あり困らされた以外はなかなか良い感じでした。

 

今回のプレゼンターはライフハックで有名な小山龍介氏「IDEA HACKS!」は買って読みました。アイデア出しのノウハウが整理されていてなかなか面白い本)、CRM系アプリケーションの開発を行っている株式会社JTSの大西社長。そして、金沢工業大学の長尾隆司教授です。

 

小山さんの「ライフハックを生み出す思考整理術」はなかなかのもの(失礼!)で、大筋だけ決めて当日に臨んだとご本人は言っておられましたが、その場でマインドマップを書きながら話を進めていくのは相当な「慣れ」が必要であり、手足のようにソフトを使いこなしている姿は名人級。内容についても申し分なく、まず、小山さんの講演を聞けただけでも足を運んだ価値はあると思われました。内容も「言語による表層思考と、言語を用いない深層思考」の説明からはじまり、途中でさまざまな(その筋の)旬なキーワードをちりばめつつも、難解と思われる内容についてはきちんとフォローを入れるなど、相当「話し慣れている」印象。実際、小山さんは会議にマインドマップを使うことが多く、そのような場では皆が理解して合意に至るケースが多いとの話でした。

 

JST大西社長のプレゼン内容は、ぐっと身近なソフト(MindManager)の活用方法。1000あまりのマインドマップを相互にリンクさせ、さまざまな情報を整理して活用している現状を紹介していただきました。「そういえばリンク機能があったんだっけ」と思い出し、その場で確認したほど。ただ……リンク機能を使って巨大なマインドマップの森を作ると、全体を俯瞰して分析することができず……マインドマップのアプリケーションの「良さ」を活かせないようにも思います。来場者からも「迷わないか?」「死に筋のマップが相当あるのではないか?」といった質問が飛んでいました。まさにそのとおりで、出席者のレベルの高さが伺われました。

 

3番手の長尾教授はコオロギ研究で有名であり、かつまた「1日2時間睡眠」の実践で知られる変わり種。話の内容のほとんどがコオロギと脳の話が中心で、MindManagerの「ま」の字も出て来ない内容。しかし、もともとの専門がコンピュータでありアウトラインプロセッサをはじめ、アイデアをまとめるためのアプリケーションについては山のように試しており、「MindJet MindManagerは、いままで試してきた中ではじめてコンピュータに使われていないと感じられるレベルに達したアプリケーションだ」という賛辞を送っていました。ただし、2次元で絵画のように説明するソフトについては、「分ったような気にさせる効果はあるが、本当に理解してもらうためには論理的な納得が不可欠」であるとして「プレゼン用ソフトやマインドマップについては、教育現場で使ってはならない」という鋭い指摘をされていました。

 

内容をセミナー資料の裏面に殴り書きしてメモしてきましたが、たしかにマインドマップで説明されると分ったような気になれたのですが、それを再度構成して文章にまとめようとすると、かなり苦労することを身をもって実感させられました。今回のセミナーには編集者とおぼしき風体の人たち(セミナー会場で周囲におかまいなく、うるさい音でノートパソコンのキーボードを叩いている人間がいたら、十中八九それは編集者。)がいましたが、彼らは記事にまとめることができたのでしょうか?(N)

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